Il Deserto Rosso/1  2007/01/20

昔々ある所に、とある国がありました。

砂漠の真ん中にあるその国は、小さいけれど豊かなオアシスに恵まれ、甘い果実と穏やかな人々に満ちておりました。
国を治めているのは王様です。
王は聡明で民に慕われる名君でした。彼はいつも、美しい妻と一緒にこの国を見守っていました。
しかしやがて、王妃は息子が物心つく前に、病で亡くなってしまいました。
王の悲しみはいかばかりであったでしょうか。
その日から彼の慰めは、成長してゆく王子の存在だけになっていったのです。

ブラウザの閉じるボタンで閉じてください。