Il Deserto Rosso/2  2007/01/20

王子はやがて少年になりました。
紅茶色の髪とルビーの瞳、伸びやかな手足は泉に育つ若木のよう。
王はこの美しく賢い息子が何よりの宝でした。
国の民たちも王子のことを誇りに思ってたに違いありません。
ところが―――その評判が国の外まで広まったせいで、王子は不幸な運命を辿ることになるのです。

初めは一通の便りでした。
けれどそのうちに、次から次へと同じ知らせが王のもとへ届くようになりました。
それは、王子を自分の国へ迎えたいという、近隣の国の有力者からの願い立てでした。

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