Il Deserto Rosso/3  2007/01/21

貴国の王子は賢い少年だという。小さな国に留まっているだけでなく、外の世界を学ぶためにも、わが国へ預けないか―――そんな事ばかりが書き連ねてあります。
王には解っていました。
皆が王子の美しさを知っている。
見聞を広めさせるためだなどと建前を並べて、小姓にでも仕立て上げるつもりなのだと。
ただ生きた人形のように。
そうして、本当にその通りでした。
いいえ、事実がどうであろうと関係はありませんでした。
王は王子を手放し、自分以外の誰かに渡すつもりなど、永遠になかったのです。

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