Il Deserto Rosso/13  2007/01/26

長い髪が篝火に煽られて赤く輝いている。
琥珀色の瞳は砂漠の獣のように鋭く輝き、生き生きとした光を満たして王を見上げた。
服は汚れて、お世辞にも美しいとは言えなかったが、それが精悍な顔立ちを引き立ててもいた。
「お前の奏でる歌は街でも評判だという。どんなものか、聞かせてもらおう」
「このような貧しい歌い手の楽で宜しければ……喜んで、お耳に入れましょう」
青年は微笑んで、もう一度恭しく頭を下げた。
王は顎に頬杖をつくと、目を細めて青年を眺めた。
度胸のある男だ。

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