Il Deserto Rosso/15  2007/01/27

初めは感嘆と喜びの声も上がっていたが、やがてその場にいる誰もが息を呑み、じっと耳をすませて歌に聞き惚れていた。
最後に二人が結ばれて、歌は終わった。
「……」
王は小さな溜息をついた。
それが合図だったかのように、周囲から賞賛の拍手が沸き起こる。
「成る程、良い歌だ」
惜しげのない賛辞を与えると、青年は頭を下げた。
「勿体無いお言葉」
評判通りの歌声に気を良くしたのか、王は続けてこう言った。

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