Il Deserto Rosso/18  2007/01/28

しかしその時、王の蒼い瞳に先刻とは打って変わった、刺すような冷気が宿る。
玲瓏たる声は有無を言わさぬ重さを湛えて、青年に言った。
「―――……西の塔へは近づくな。この禁破った時には、首が無いと思え」
「西の塔…?」
青年はその、部屋の端まで伝わるような冷たい視線に耐えながら、呟いた。
「承知致しました。……けれど陛下、そこには何が?」
「お前が知る必要は無い」
それだけ言い捨てると、王は袂を翻して広間の奥へと消えた。

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