Il Deserto Rosso/24  2007/01/31

青年は恭しく頭を下げて、挨拶をした。
「……君は一体」
「あの厳しいお父様から聞いてないのかい?俺は今夜王様に呼ばれて、こいつを披露しに来たんだ」
脇に抱えた竪琴を抱え直すと、ぴんと弦を弾いてみせる。
「あ…!!それじゃ、君があの…?」
王子はもう一度驚いた。
若い男だとは聞いていたが、青年は王子とそう歳も違わないように見える。
「あたり」
「……」
「そんなに警戒するなよ。何も取って食おうってんじゃないんだぜ」

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