Il Deserto Rosso/26  2007/02/02

「うん…。お父様が外へは出るなって」
「それにしたって、酷いな。まるで囚人だ」
その言葉に、王子はかっと頬へ血を上らせた。
「僕は囚人なんかじゃないよ!お父様のことを悪く言わないで!」
「っと……」
物静かな少年が烈火の如く声を荒げるさまに、青年はいささか驚いたようだ。
慌てて窓枠から降りると、慌てて頭を下げる。
「ごめん。……言い過ぎた」
「……」
青年の大きな掌が、王子の紅茶色の髪をくしゃくしゃと撫でた。
幼い頃、父にそうされた記憶が少年の中で、少しだけ柔らかく蘇った。

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