Il Deserto Rosso/34  2007/02/11

影は大きくうなずいて、茂みの中へと消えた。
王子はそのまま、ベッドへへたりこんでしまった。
胸の高鳴りがまだ収まらない。
早く夜が明ければいい。
そうしてその日が沈めば―――
閉ざされた部屋で、たった一夜で落ちたそれは、少年が初めて感じた恋だった。

***

(……)
白い天井が目に入って、王子は未だけだるい体でふと寝返りを打った。
あのまま寝入ってしまったらしい。
ぼんやりと重い瞼を擦れば、昨夜のことがおぼろげに蘇ってくる。
銀の竪琴、赤い髪の青年、異国の歌。

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